レジオネラ属菌(神奈川県作成資料より)
■レジオネラ症とは
レジオネラ属菌が原因で起こる感染症で、急激に重症になって死亡する場合のあるレジオネラ肺炎と数日で自然に治る場合が多いポンティアック熱があります。
レジオネラ肺炎は、通常2〜10日の潜伏期間を経て発症し、悪寒、発熱、筋肉痛などに続いて呼吸器症状として痰の少ない咳、呼吸困難などが現れ、日増しに症状が重くなり、腹痛、水様性の下痢、意識障害などを伴うこともあります。
なお、厚生労働省によれば、病気の進行が早ければ、死亡率は60%〜70%にものぼるとされていますが、人から人への感染はありません。
また、レジオネラ属菌は、土壌、河川、湖沼などの自然環境に生息しているため、環境細菌といわれており、アメーバなどの原生動物に寄生し、20〜50℃で増殖しますが、最適な温度は36℃前後といわれています。
■こうしておこる浴場におけるレジオネラ症
<発症までのステージ> |
<対応策> |
@レジオネラ属菌が人の体に付着し、又は土ぼこりと共に浴場内へ持ち込まれる。 | @浴場内へ入る前に汚れを落とす。 |
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A入浴により浴槽水がレジオネラ属菌に汚染される。 | A入浴前に体を洗う。 |
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B循環ろ過配管、ろ過器等の生物膜(ぬめり)の中に住むアメーバ内で、レジオネラ属菌が増殖する。 | B循環ろ過配管及びろ過器の清掃消毒。 |
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C増殖したレジオネラ属菌がアメーバの対外へ放出され、さらに浴槽水が汚染される。 | C1週間に1回以上、対応策Bを実施する。 |
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D気泡発生装置、ジェット噴射装置などが、レジオネラ属菌を含んだ微粒子を空気中に分散させる。 | D装置の洗浄、消毒。 浴槽水を洗浄に維持。 |
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E空中に分散した微粒子を人が吸入することでレジオネラ肺炎を発症する。 | |
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■死亡事故が起きています
発症年月 | 発症地 | 発症施設 | 死亡者/発症者 (死亡率) |
検出菌量 (cfu/100ml) |
主な原因 | |
H12.3 | 静岡県 掛川市 |
公衆浴場 (温泉利用) |
2名/23名 (8.7%) |
浴槽水 8.8×104 |
浴槽水の消毒が不十分で、ろ過装置の清掃を怠っていた。 | |
H12.3 | 茨城県 石岡市 |
公衆浴場 (福祉施設) |
1名/27名 (3.7%) |
浴槽水 8.4×103 |
汚染した浴槽水を循環して、打たせ湯へ利用した。 | |
H13.12 | 東京都 板橋区 |
公衆浴場 (銭湯) |
1名/1名 (100%) |
浴槽水 (薬湯) 8.4×10 |
薬湯の消毒が不十分。(入浴中に意識障害を生じ、菌含有の浴槽水を吸引) | |
H14.7 | 宮崎県 日向市 |
公衆浴場 (温泉利用) |
6名/34名 (17.6%) |
浴槽水 1.5×106 |
温泉貯留槽の清掃が不十分で菌が増殖、浴槽水の消毒が不十分。(残留塩素未検出) | |
H15.1 | 石川県 山中町 |
公衆浴場 (温泉利用) |
1名/1名 (100%) |
浴槽水 2.6×102 |
ろ過器のろ材の交換不備及び循環ろ過配管の清掃不測。(菌含有の浴槽水を吸引) | |
総 計 | 12名/95名 (12.6%) |
■レジオネラ症を防ぐには
〜レジオネラ症を防止するために次の条例が改正されました〜
@旅館業法施行条例
A公衆浴場の設置場所の配管及び衛生措置等の基準等に関する条例
●レジオネラ症対策としての主な衛生措置基準
・水質管理:浴槽水等は、規則に定める水質基準に適合するように管理すること。
・水質検査:浴槽水は1年に1回以上、その他の使用水は必要に応じて実施すること。
・換 水 :浴槽は、原則として毎日、浴槽水を完全に換水して清掃を行うこと。
・消毒方法:原則、塩素系薬剤を使用し、遊離残留塩素濃度は0.2mg/l以上とする。
・貯湯槽の温度:貯湯槽内の湯水の温度を摂氏60℃以上に保つこと。
・気泡発生装置:浴槽水からレジオネラ属菌が検出した時は装置の使用を中止する。
・点検票作成と責任者設置:自主的な衛生管理を行うために手引書及び点検表を作成。
・水質検査記録の保管:水質検査記録及び遊離残留塩素記録を3年間保管すること。
●レジオネラ症対策としての主な構造設備基準
・貯湯槽の設備:貯湯槽内の湯水を摂氏60℃以上に保つ加温装置の設置。
・ろ過器の設置要件:1時間当たりのろ過能力、逆洗浄可能なろ材であること。
・気泡発生装置等の構造:空気取り入れ口から土ぼこりが入らない構造であること。
・消毒剤注入口:浴槽水が、ろ過器に入る直前に設置すること。
■検出した場合の対応
10cfu/100ml以上のレジオネラ属菌が検出された場合は、直ちに菌数を減少させるため、施設の清掃、消毒等の対策を講じて下さい。
また、対策実施後は、検出菌数が10cfu/100ml未満であることを確認して下さい。
■不明な場合は、小田原保健所(生活衛生課)
0465-32-8000へお問い合わせ下さい。
■当社の温泉(大涌谷の温泉)についてのは、こちらをご覧下さい。
大涌谷温泉についてのご質問は、当社総務課宛(0460-4-8516)にお問い合わせ下さい。